ドイツの移民向け語学コース、Integurationskurs(統合コース)の最後の一ヶ月。
この一ヶ月はドイツの法律や歴史、システムなどを学ぶクラスです。
ドイツ語だと、Orientierungskursオリエンティエルングズコァスと言います。

このクラスは最終日にクラスで学んだ内容を問われるテストがあります。
テストの内容はあらかじめ決まっています。
が、どの問題が問われるかはわかりません。

というのも、テストにでる問題は33問なのですが、
クラスで学ぶ問題数は310問なのです。
この310問のうちからランダムに33問が出され、
うち16問を正解すると無事合格なのだそうです。

310問のうち、300問はドイツ全般のことについての問題。
のこりの10問は受講者の住んでいる地域の問題です。

基本的にはこの問題を粛々と解いて答えを覚えればいいというクラスなのですが、
問題の背景などを学ぶために、教科書を購入します。

ほかのクラスはわからないのですが、教科書で背景を学び、それに相当する内容の問題を、
310問の問題の中から抜粋して解いていくのが今のクラスのスタイルです。

と、先生は何回も説明するのですが、クラスの大多数の人は
「問題だけやればいい」
「教科書は買いたくない」
「問題だけもらえれば、もう学校に来ない」
などとてんやわんや。
先生も毎回同じことを説明してすごく困ってます。

授業中も、そういうことを言う生徒さんに限って遅れて来て、
「自分のプリントがない」
「説明をもう一回してくれ」
と言うのは日常茶飯事だし、
先生の説明を遮って自分の言いたいことを言い、
それからおしゃべりが始まってまた先生の説明を聞かず、
「答えは結局なんなの?」とか、
「先生は説明してくれない」とか言い出す始末。
なにかわからないことがあるとすぐ自分たちの言葉で話し始め、教室は全く収集がつきません。

日本で小学校教師をしていた私。
これはまさに学級崩壊のクラスの光景です。

となりで「授業がぜんぜんわからない!」と言っているクラスメートに、
「あなたが自国の言葉で周りと喋ってた時に先生が、まさに今あなたが私に聞いてきたことを説明してたよ!」
と言ったりしても、全く意に介さず。

静かに授業を受けている反対どなりの生徒さんに、
「これが普通なの?」
と聞くと、
「そう」
と言います。

いやはや。

しかも残念なのは、こうやって大騒ぎする人たちが、難民の人たちだということ。
だれよりもドイツに住むことを欲しており、そのためにだれよりも学ぶ必要のある人たち、
かつ、ドイツから援助を受け、学費を免除してもらってクラスを受講している人たちだということ。

自分たちのために用意された大切なチャンスなのに、どうしてこんな風に行動できるのだろう?
と悲しく思います。

こういう風に行動している様子をドイツ人の先生方や、行政の人たちはつぶさに見ているわけです。
そして、だんだんと「難民の人は扱いづらい」→「あまり関わらないほうがいい」という雰囲気が出来上がってきているように思います。

現に、前のクラスのシリアの人たちなどは、
「アパートを見つけても、『シリア人だから』と言って断られる」
「行政でも、自分がシリア人とわかった途端に邪険にされる」
「仕事もなかなか見つからない」
と嘆いていました。

これはとっても残念な事態です。

難民の人の中にも本当に善良で、真面目なひともたくさんいます。
前のクラスでは、だれよりも早く教室に来て、一番前で熱心に学ぶおじいさんもいましたし、
自国では学校の先生をしていた青年が、クラスメートの誕生日にはその人の国の言葉で「おめでとう」と一生懸命バースデーカードを書いていました。
クラスメートも、1対1で話せば穏やかで優しい人も多いのです。

でも、「この国の人はこういう人」というふうに十把一絡げで見る風潮はドイツに限らずどこにでもあること。
しかも、いいところよりも悪いところが先に人々の中に広がるのもよくあることです。

日本人のドイツでの評判は悪くないので、いろいろなところで生きやすいですが、
それでも街で、知らない人からちょっと邪険にされることもよくあるくらいですから、
悪い評判がたってしまった国の人の生きづらさといったら相当なはずです。

それをどうにかしたいと思うなら、
「あの国の人間は○○だと思っていたが、こいつは違うな!」
といい意味で出会った相手を裏切っていくことの積み重ねしかないと思います。

もしかしたら、
自国では自分の意見を押し殺して生きてきたから、
自由に意見を言っても直接的に攻撃されない教室の中では、
自分の言いたいことを言ってみたいのかもしれません。

でも、

「ほかの人もこうしているし、自国の人と一緒に居れば楽だから」とか、

「どうせ、頑張っても評判はよくならないから」

というような気持ちで流されていったら、いつまでたっても状況はよくならないし、
もっともっと、自分たちが生きにくい状況を作っていってしまいます。

旦那さんがいつか、
「僕たちがここで快適に暮らせるのは、これまでの日本人の大多数がきちんとやってきてくれたから。
 だから僕たちも、品行方正に暮らしていかなければならない」
と言っていました。

本当にそのとおりだなと思います。

今日はちょっと長くて、ぐちっぽい話になりました。

次回からはまた、のほほんとした日記にします。